問1 ソフトウエア関連発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるための要件。

答1 簡潔版:ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されていること。
  詳細版:ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって,使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより,使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法が構築されていること。

問2 「物」に「プログラム等」が含まれる理由(2つ)。

答2 プログラムも生産やネットワークという手段を用いた提供行為といった流通が観念できるため。プログラムを物の発明として請求頂に記載できる現行の運用との整合性の面も考慮したため。

問3 情報財(遺伝子の配列情報自体,蛋白質の立体構造情報自体)を保護対象としない理由(2つ)。

答3 これらは科学的「知識」であり,保護した場合に禁止すべき行為として何を実施行為に規定すればよいか不明であるため。情報に関するデータを用いて研究・開発を行うことに独占的な権利を与えると,先人の知識の上に新たな技術開発を促す特許制度の趣旨に反するため。

問4 「電気通信回線を通じた提供」とは。

答4 有線であるか無線であるかと問わず,両方向から通信を送信するための無線または有線を用いたものによる提供。

問5 「最初の拒絶理由」とは。

答5 原則、出願人にはじめて指摘する拒絶理由を通知するもの。最初の拒絶理由に対して補正がなされなかった請求項等に対する拒絶理由も含む。

問6 「最後の拒絶理由」とは。

答6 原則として,最初の拒絶理由に対する補正により通知することが必要となった拒絶理由のみを通知するもの。

問7 補正ができる範囲を制限することとした理由。

答7 先願主義のもと出願を急ぐ必要もある。一方,新規事項追加の補正が許されると第三者は不測の不利益を受けることになる。そのため、出願人と第三者の利益の洞察から。

問8 「当初明細書に記載した事項」とは。

答8 当初明細書に記載された事項だけではなく,明示的な記載がなくても,当初明細書の記載から自明な事項も含む。

問9 シフト補正を禁止する理由(3つ)。

答9 拒絶理由通知を受けた後に特許請求の範囲を技術的特徴の異なる別発明に変更することにより,実質的に2件分の審査を受けることが可能となっていた。これにより,
o 査定前に出願を精査した出願人とそうでない出願人との間で取扱いに不公平が生じており,審査効率も低下しているため。
o この補正が許容されていたため,発明の単一性の要件が没却していたため。
o 欧米ではこのような補正が認められておらず,国際的調和を図る必要もあったため。

問10 最後の拒絶理由通知を受けたあとの補正において特許請求の範囲の補正が制限される理由。

答10 行われた審査の結果を有効活用できる範囲内に制限することで,制度の国際的調和,迅速な権利付与及び出願の公平な取扱いを図るため。

問11 「特許出願前」とは。

答11 時,分も問題となる出願時。

問12 新規性の判断基準。

答12 発明特定事項と引用発明との一致点及び相違点を認定すること等により両発明の対比を行い,発明特定事項とに相違点があるか否かで判断。

問13 「公然知られた発明」とは。

答13 不特定の者に秘密でないものとしてその内容が知られた発明。

問14 「公然実施された発明」とは。
答14 その内容が公然知られる状況又は公然知られるおそれのある状況で実施された発明。

問15 「刊行物」とは。

答15 公衆に対し頒布により公開することを目的として複製された文書等の情報伝達媒体。

問16 「頒布」とは。

答16 刊行物が不特定多数の者が見うる状態におかれることをいい,現実にその刊行物を見たという事実は必要としない。

問17 「電気通信回線」とは。

答17 有線又は外線により双方向に通信可能な電気通信手段を意味し,一方向からしか情報を通信できない放送等は除かれる。

問18 「公衆に利用可能」とは。

答18 不特定の者が見えるような状態におかれること。現実に誰かがアクセスしたという事実は必要としない。

問19 インターネットにおける「公衆に利用可能」とは。

答19 インターネットにおいて,リンクが張られ,検索サーチエンジンに登録され、又はアドレス(URL)が公衆への情報伝達手段におっており,かつ公衆からのアクセス制限がなされていないこと。

問20 公衆に利用可能となったものではない具体例は。

答20 個人問の私信メール,特定の者(守秘義務を持った者,特定の会社の従業且等)のみがアクセス可能な情報。

問21 進歩性判断における「当業者」とは。

答21 本発明の属する技術分野の出願時の技術常識を有し,研究,開発のための通常の技術的手段を用いることができ,材料の選択や設計変更などの通常の創作能力を発揮でき,かつ,本願発明の属する分野の出願時の技術常識にあるものすべてを自らの知識とすることができる者。

問22 進歩性の判断

答22 本願発明の属する技術分野における出願時の技術水準を的確に把握した上で,当業者であればどのようにするかを常に考慮して,引用発明に基づいて当業者が請求項にかかる発明に容易に想到できたことの論理づけができるか否かにより行う。論理づけができた場合は請求項に係る発明の進歩性は否定され、論理づけができない場合には進歩性は否定されない。

問23 論理づけのポイント(3つ)

答23
o 請求項に係る発明特定事項と引用発明の特定事項との一致点・相違点の明確化、請求項に係る発明に対して進歩性の存在を否定し得る論理を構築。
o 種々の観点・広範な観点から論理づけの検討(引用発明からの最適材料の選択・設計変更や単なる寄せ集めに該当するか否か,あるいは,引用発明の内容に動機づけとなり得るものがあるか)。
o 引用発明よりも有利な効果がある場合には,進歩性の存在を肯定的に推認するのに役立つ事実として参酌される。

問24 29条の2の趣旨(3つ)。

答24
o (準公知)先願の明細書等に記載されている発明は,新しい技術を公開するものではなく,特許制度の趣旨からみて独占権を与えるべきではないため。
o 特許請求の範囲を増減変更できる最大限の範囲である出願当初の明細書等に記載された範囲全部に先願の地位を認めておけば,出願審査請求の有無に関係なく,後願を処理できるため。
o 明細書に記載されている関連技術について後肢を排除できれば,出願に係る発明の周辺技術について他人が権利を取得するのを防ぐためにのみ出願することが不要となるため。

問25 29条の2と39条との差異(趣旨,後顧を排除できる範囲,排除できない場合)。

答25 趣旨の差異:29条の2はすでに公開された発明についてさらに後順に特許を与えることは不合理であるためであるのに対して,39条は二重特許を 排除するため。
o 後順を排除できる範囲:29条の2は先順の出願の最初に添付したクレーム、明細書及び図面に記載されている発明であるのに対し,39条は先順のクレームに記載されている発明のみ。
o 後顧を排除できない場合言)29条の2は公報発行、出願公開等による公開が条件であるが,39条は公開が不要である。(1i)29条の2は,公開されていればその後放棄等されていても適用されるが,39条は適用がない。
o 29条の2は,発明者同一,出願人同一の場合は適用されないが,39条は,冒認以外の場合は,発明者同一・出願人同一でも適用される。

問26 特許を受ける権利とは。

答26 国家に対して特許を請求する公権であるとともに請求権であり,譲渡性がある財産権。

問27 特許を受ける権利の移転の制限(3項の趣旨)。

答27 持分か自由に譲渡されて,共有者が変わることにより他の共有者の持分の価値が著しく変化することを防止するため。

問28 出願が特許を受ける権利の承継の第三者対抗要件となっている理由。

答28 出願前は,適当な公示手段がないため。

問29 特許出願後の特許を受ける権利の承継は,届出が効力発生要件となっている理由。

答29 出願前に特許を受ける権利の承継ができなくなる事態を回避するため。

問30 職務発明における予約承継は可能か。その根拠は。

答30 可能である。根拠は,35条2項において,職務発明以外の予約承継を無効としており,その反対解釈。

問31 「契約,勤務規則その他の定めにおいて前項の対価について定める場合」の具体例(3つ)。

答31
o 「勤務規則その他の定め」において,支払われる対価を算定するための「基準]をあらかじめ定め,その基準を個々の発明に当てはめた上で価格を支払う構造になっているもの。
o 発明完成前の「契約」において,まず,支払われる対価を算定するための「基準]について取り決め,その基準を個々の発明に当てはめた上で,契約の履行として対価を支払う構造になっているもの。
o 発明完成後に,「契約]で個別の発明について,特定の金額の全員を対価として支払うことについて合意するもの。

問32 職務発明規定改正の理由。

答32 職務発明の活性化により知的創造サイクルを確立させるため,対価の設定の困難性及び使用者等の支払うべき対価の予測困難性を少なくし,従業者等の発明意欲の維持・確保を実現させるため。

問33 36条5項が拒絶理由であるが,無効理由となっていない理由。

答33 審査官が特許を受けようとする発明を特定するために必要な事項のすべてが記載されているか否かを判断することは不適当なため。

問34 「その発明の実施をすることができる]とは(3つ)。

答34
o 物の発明にあってはその物をつくることができ,かつ,その物を使用できること。
o 方法の発明にあってはその方法を使用できること。
o 物を生産する方法の発明にあっては,その方法により物をつくることができること。

問36 先行技術文献開示制度導入の理由。

答36 迅速な審査に寄与するだけでなく,特許を受けようとする発明と先行技術との関係の的確な評価ができ,権利の安定化にも資するため。

問37 「情報の所在」の定義(2つ)。

答37
o 頒布された刊行物に記載された発明にあってはその情報が記載された刊行物の名称。
o 電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明にあってはその情報を特定するURL等。

問38 「特許を受けようとする者」が法人である場合の「知っている発明」とは(2つ)。

答38
o その法人の名の下において過去に行った行為(過去の特許出願に係る発明,明細書中に記載した文献公知発明等)に係る発明。
o 発明者から特許を受ける権利を承継した場合には,その発明者が有する先行技術文献情報(発明者が発表した論文等)。

問39 明細書及び特許請求の範囲の使命とは。
答39 発明の技術的内容を公開するための技術的文献としての使命,および特許発明の技術的範囲を明示する権利書としての使命。

問40 「特許を受ける発明が明確であること」とは。

答40 発明を特定するための事項の記載が明確であること,一の請求項に基づいて一の発明か明確に把握できること。

問41 外国語書面出願制度が設けられた理由(2つ)。

答41
o パリ優先権が主張できる1年の期限が切れる直前に特許出願をせざるを得ない場合には,短期間に翻訳文を作成する必要があるという問題を解決するため。
o 日本語への翻訳の過程で誤訳がなされた場合には外国語による記載に基づいて誤訳の訂正を行うことができず,発明の適切な保護が守れないのを防ぐため。

問42 図面に相当する書面と外国語要約書面の翻訳文が提出されなかったときどうなるか。

答42 図面はないものとして取り扱えば足り,要約文は出願人に補正を命じれば足りるため,みなし取下げとはしない。

問43 外国語書面出願の翻訳文提出期間の延長の理由(2つ)。

答43
o わが国にパリ優先権主張を伴う外国語書面出願をした場合に比べ,わが国において外国語書面出願による第一国出願を行った場合には負担が大きいため。
o 外国語書面出願を基礎として国内優先権主張出願をする場合には,翻訳文を2月以内に提出しなければならないため,

問44 発明の単一性の規定の理由。

答44 相互に技術的に密接に関連した発明について、それらを1つの願書で出願できるものとすることによって、出願人,第三者および特許庁の便宜上の要請に答えるため。

問45 37条の「技術的関係」とは。

答45 2つの発明が同一又は単独の[特別な技術的特徴」を有していることにより,単一の一般的発明概念を形成するように関連している技術的関係(施行規則25条の8第1項)。「特別な技術的特徴」とは,発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいう(施行規則25条の8第2頂)。

問46 国内優先権制度導入の理由(2つ)。
答46
o 一連の発明についての複数出願を一出願にすることができ,技術開発の成果を包括的に漏れのない形で特許権として保護することが可能となる。
o 自己指定を認めることで,PCT出願の利用促進を図ることができる。

問47 国内優先権の利用の態様(3つ)。
答47
o 実施例補充型
o 上位概念抽出型
o 出願の単一性利用型

問48 分割の時期的制限の緩和の理由(2つ)。

答48
o 特許査定時や拒絶査定時に出願を分割して適切な特許請求の範囲で再度権利取得を目指すことができず,権利取得手続きの柔軟性が欠如しているため。
o 拒絶理由が通知されることなく特許査定となった場合を考慮して,故意に拒絶理由を含む発明を特許請求の範囲に記載したり、念のため事前に出願を分割するなど手続の無駄も発生しているため。

問49 分割出願の補正制限の理由。

答49 権利化時期を先廷ばしすることを目的として,あるいは別の審査官により異なる判断がなされることを期待して,同じ発明を繰り返して分割出願する分割出願制度の濫用を防止するため。


問50 優先権の累積的主張を認めない理由。

答50 実質的に優先期間(1年)の延長となるため。


問51 出願変更の要件を「最初の査定」とした理由。

答51 審判から審査へ差し戻されて再び拒絶査定がされる場合もあるから。

問52 願審査請求期間が7年から3年になった理由(3つ)。

答52
o 審査請求を行っていない段階では,明細書の範囲内で特許請求の範囲を自由に変更できるが,未請求案件は膨大であり,その発明の詳細な説明に記載された技術内容まで精査することは不可能なため,特許権を侵害するおそれがあるため。
o 特許侵害をおそれるあまり,不当に広い特許請求の範囲であっても製品の設計変更や代替手段の準備を強いられるため。
o 審査請求や補正の有無を常に監視する必要があるため。

問53 「明細書についての補正書又は意見書の提出によってもなお第36条第4項第2号に規定する要件を満たすこととならないとき」とは(3つ)。

答53
o 手続補正書及び意見書のいずれも提出されないとき。
o 文献名等を追加する明細書の補正がなされたものの,その追加補正された文献名等が不適切なものであったとき。
o 意見書によって開示しなかった理由を説明したもののその説明が不十分であったとき。

問54 2回目以降の拒絶理由通知に対する補正が不適法である場合,補正却下とする理由、

答54 拒絶理由とすると,その補正が不適法である旨の根絶理由を再度通知し,さらにその拒絶理由通知に対しては補正が可能であるから,さらに補正について審査を行う必要があり,審査の迅速性が確保されがたいこととなるため。

問55 出願公開が導入された理由。

答55 審査の遅延により,即位された発明の内容が長期間公表されず,企業活動を不安定にし,また重複研究,重複投資,重複出願を招いているという障害を除去するため。

問56 64条の2第2号の制限の理由。

答56 優先権を主張するとの出願人の意思が確定しないまま出願公開を行うことは,第三者にとって不利益を生じるおそれがあるため。

問57 64条の2第3号の制限の理由。

答57 翻訳文の提出がなければ公報の発行及びその準備に入ることができないため。


問58 公開請求を取り下げることができない理由。

答58 公報発行準備が終了した後は,出願公開の請求を取り下げたとしても,公開公報の発行をとめることが間に合わないため。

問59 補償金請求権を導入した理由。

答59 出願公開に基づく,第三者の実施に対する出願人の損失を填補するため。

問60 補償金請求権の請求において警告を要件としている理由。

答60 出願公開は,発行される量が多いのでこれを全て読むことを第三者に義務づけるのは適当ではないから。

問61 補償金を請求するためにはどのように警告すべきか。

答61 出願公関防の特許請求の範囲に記載されている発明の内容あるいは出願公開後に特許請求の範囲に関する補正をした場合には,その補正後の発明の内容を記載した書面を提示して警告する、

問62 補償金請求権を発生させるためには常に警告が必要か。

答62 警告をしない場合であっても実施者が出願公開に係る発明であることを知って業として実施していた場合は袖償金を請求できる。ただし,この場合は知っていたことの立証は出願人が行われなければならない。

問63 「発明の内容を記載した書面」とは(4つ)。

答63 
o 明細書のコピーである必要はないが,少なくとも出願公開の番号
o 出願公開の年月日
o 特許出願の番号
o 特許請求の範囲に記載されている発明が当業者に理解できる程度にその内容を記載しているもの。