問64 警告をする際の留意事項は。

答64 具体的に特定の相手方に対して行うことが必要。発明の内容を業界紙等に掲載して行う警告は,相手方が特定されていないので,警告には該当しない。

問65 補償金請求権が登録後にしか認められない理由。

答65 出願公開された出願のうち約半数はその後の審査により、拒絶されている状況であるから,そのような不安定な段階で請求権の行使を認めると後に拒絶された場合の利害関係の調整が面倒なため。

問66 存続期間が延長された後の特許権の効力の及ぶ範囲とは。

答66 処分の対象となった物を,処分において定められる特定の用途について実施する場合にのみ及ぶ。なお,医薬品の場合には,有効成分及び効能・効果が同一であれば,剤型,用法,用量,製造等が異なる実施の形態にも、延長後の特許権の効力が及ぶ。

問67 特許権の効力が及ばない範囲を導入した理由。

答67 試験又は研究は技術を次の段階に進歩させることを目的とするものであるため,特許権の効力をこのような実施にまで及ぼすことは却って技術の進歩を阻害することになるため。

問68 均等と認められるための要件(5つ)。

答68
o 特許発明の本質的な部分ではないこと。
o 置き換えても特許発明の目的を達成でき,同一の作用効果を有すること。
o 置き換えることにより,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に推考できたものではないこと。
o 対象製品等が,特許出願時における公知技術と同一又は当業者が出願時に容易に推考できたものではないこと。
o 対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものにあたるなどの特段の事情もない場合。

問69 他の共有者の同意がなければ持分を譲渡等できない理由。

答69 特許発明の実施は,1人が使用したために他人が使用できなくなるものではなく,しかも投下する資本と特許発明を実施する技術者いかんによって効果が著しく違い,他の共有者の持分の経済的価値も変動をきたすため。

問70 他の共有者の同意がなくても実施できる理由。

答70 民法の規定からすれば各共有者は他の共有者の同意を得ないで特許発明を実施することができるが,1項の規定に引きずられてこれに反する解釈がなされるおそれがあるため。

問71 他の共有者の同意がなければ実施権の設定・許諾をできない理由。

答71 専用実施権の設定,通常実施権を許諾された者の資本及び技術いかんによっては他の共有者の権利も有名無実となるため。

問72 共有者の1人が単独で差止請求をすることができるか。

答72 保存行為として認めるとすると,敗訴したときは,その既判力が他の共有者にも及ぶこととなり,一種の処分行為をなしたことに等しい結果となる。したがって,保存行為としてではなく,各自の持分権に基づいてなすことができる。

問73 共有者の1人が単独で損害賠償請求をすることができるか。

答73 損害賠償は金銭債権であり、可分債権であることから自己の待分権に基づいてすることができる。

問74 共有者の下請け企業の実施が共有者の実施であるとみなされるための要件(3つ)。

答74 
o 製作に対して工賃を支払う契約
o 原料の購入,製品の販売,品質についての共有者の指揮監督
o 全製品の共有者への納入

問75 専用実施権の性質は。

答75 排他性がある物権的な権利である。同一間間,同-地域,同一内容についての専用実施権が二以上設定されることはありえない。

問76 通常実施権の特徴。

答76 債権的な性格を有する権利である。同時に同一一内容の通常実施権を二以上の者に許諾することができ,かつ,通常実施権の許諾後においても特許権者自らが実施をすることは差し支えない。

問77 独占的通常実施権とは何か。
答77 契約の組手方にのみ通常実施権を与え,他に与えないことを明らかにする実施権。専用実施権と似ているが,特許権者が自己の実施を確保できる点で異なる。

問78 独占的通常実施権者は差止請求権を行使することができるか。

答78 独占的通常実施権であっても、債権的権利に過ぎず、差止請求をすることはできない。ただし、特許権者に侵害者に対して侵害を差し止める措置を採るべき義務が認められるような場合,この債権を彼保全債権として債権者代位権を行使することにより,第三者に対して特許権者にかわって差止請求権を行使することは可能である。

問79 独占的通常実施権者は損害賠償請求権を行使することができるか。

答79 本来独占できたであろう市場における租益を害されていることを根拠に損害賠償請求をすることができる。

問80 先使用権を導入した理由。
答80 使用者が,その後になされた出願に基づく特許権の存在により実施を継続できなくなることは公平の観念に反し,先使用者に実施を全く認めないとすると,他人の出願前から権柄的に資本,労力を投下してなされた事業整備の荒廃をきたし,国民社済上,産業政策上奸ましくないから。

問81 「事業の準備」とは。

答81 いまだ事業の実施の段階に至らないものの,「即時実施の意図を有しており」かつ「その即時実施の意図が客観的に認識される態様,程度において表明されている]こと。

問82 「事業の準備」はどの程度の段階までの準備か。

答82 少なくともその準備が客観的に認められ得るものであることを要する。したがって,単に頭の中で発明の実施をしようと考えたとか,実施に必要な機械購入のために銀行に資金貸入札の申込みをしたという程度では事業の準備ということはできない。一方、その事業に必要な機械を発注してすでにできあがっているとか,雇用契約も結んで相当宣伝活動をしているような場合は事業の準備に含まれる。

問83 「発明の範囲内」とは。

答83 自己が現に実施している発明が特許出願に係る発明の一部に過ぎないような場合は,その実施している一部についてのみ本条の通常実施権を有するのであり、特許出願に合まれた発明の全部について通常実施権を有するのではない。

問84 「事業の目的の範囲内」の具体例。

答84 苛性ソーダの製造のための当該発明を実施していた場合は,その苛性ソーダ製造業の範問内において通常実施権を有するのであり,当該整備を製鉄事業に使用する場合にまで通常実施権を有するのではないという。なお,苛性ソーダ製造業に使用する限りはその製造規模を拡大することを許される。

問85 「特許出願の際」とは。

答85 国内優先権主張を伴う出願、パリ優先権主張を伴う出願,PCT出願,分割出願などの場合は,その発明についての鏝先の特許出願時。

問86 「実施又は準備をしている発明の範囲」とは。

答86 先使用権者が現に日本国内において実施又は準備をしていた実施形式に限定されるもの(実施形式限定説)ではなく,その実施形式に具現されている技術的思想すなわち発明の範囲(発明思想説)をいうっ先使用権制度の趣旨が,主として特許権者と先使用権者との公平を図ることにあることから,実施形式以外に変更することを一切認めないのは先使用権者に酷であり,同条の文理にもそぐわないからである。

問87 中用権を導入した理由。

答87 公平の観念というようなものはなく,事業整備の保護のため。

問88 「公共のため特に必要であるとき」の具体例。

答88 発電に関する発明であって、その発明を実施すれば発電原価が著しく減少し需要者の負担が半減するような場合であるとか,ガス事業に関する発明であって,その発明を実施すればガス漏れがなくなり、ガス中毒者が著しく少なくなるような場合。

問89 101条1号・4号が導入された趣旨。

答89 特許発明の実施とは,特許発明の構成全体の実施をいうが(権利一体の原則),この原則のままでは、1)いわゆる予備的な行為をする者があるとき,迂遠かつ面倒な手続を取らねばならなくなること、2)特許権侵害は,業を要件とするから最終の組立てのみを個人的・家庭的に行わせる行為について有効に禁止しなければ特許権の効力は実質|こ著しく減殺されることから。

問90 101条2,5号が導入された趣旨。

答90 特許権の侵害に用いられる専用部品の供給などの行為は,直接侵害を惹起する蓋然性が高く,このような行為を放置することは,特許権の実効性を失わせることになるため。

問91 101条3号・6号が導入された趣旨。

答91 模倣品の拡散の最終局面である個々の譲渡場面のみを侵害行為としてとらえるだけでは十分な抑止とならないため。

問92 「のみ」とは。

答92 その物がその性質上,その発明の実施以外に使用されないこと(他の用途がないこと)。

問93 「他の用途」の有無の判断時はいつか。

答93 実施時である。すなわち、特許時のみが基準時ではなく、特許時に実施したならば間接侵害の対象となる行為であっても、その後、他の用途が発見されたときは,発見後の行為は間接侵害とはならない,

問94 「他の用途」とは実用的用途であることを要するか。

答94 他の用途は,現に経済的、商業的ないしは実用的な使用の事実を要する。

問95 間接侵害の成立には,直接侵害の存在を必要とするか。

答95 間接侵害が成立するためには,直接侵害の実行がなければならないとする説(従属悦)がある。しかし,文理解釈上難点があるばかりでなく,この規定を設けた趣旨に沿わないので,直接侵害の有無を問題とすべきでないとする説(独立説)を妥当とすべきである。

問96 汎用品であっても「のみ」に該当する例を挙げよ。

答96 網を運転席や後部座席の前後に張ることによって,自動車の追突時における人身事故を防lトする装置の発明において,網自体としては普通のものであっても,その網が自動車内に装置する必要上,その長さ,帽,形状等が特定され、自動車の安全装置以外に使用されることがないものである場合。

問97 「発明による課題の解決に不可欠なもの」とは。

答97 発明特定事項とは異なる概念であり,それを用いることにより初めて「発明の解決しようとする課題]が解決されるような部品,道具,原料など。

問98 「日本国内において広く一般に流通しているものを除く」の意味。

答98 日本国内において広く普及している一般的な製品や,特注品ではなく市場において一般に人手可能な状態にある規格品,普及品を除くこと。

問99 主体的要件を導入した理由。

答99 特許権侵害とは無関係な他の用途がある部品等が実際に特許権侵害に用いられるか否かは,部品等の供給先である相手方の意図により決定されるため。

問100 「そのものがその発明の実施に用いられること」とは。

答100 自らが生産,譲渡等を行う部品等の物が,他者により特定の発明の実施に用いられることを認識していること。

問101 「知りながら」とは。

答101 「その発明が特許発明であること]及び「その物がその発明の実施に用いられること」について実際に知っていたこと。

問102 「事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるとき」とは(3つ)。

答102
o 侵害行為があったため,製品の値下げを余儀なくされた場合。
o 製品に対する特許発明の寄与度の算定が困難な場合っ
p 一部の地域における侵吉昌の販売数量は立証できたが,さらにそれ以外の地域の販売数量についても立証しようとすると法外な費用がかかってしまい,一定の努力を払ってもなお全てを立証することが極めて困難である場合。

問103 信用を害する例。

答103 特許権を侵害して製造した物が特許権者の製造に係るものよりも造かに粗悪品であり、しかも需要者の多くが当該特許にかかるものはすべてそのような粗悪品であると信じたような場合。


問104 信用の回復に必要な措置。

答104 新聞紙上に謝罪広告を掲載することなど。

問105 その責めに帰することができない理由。

答105 通常の注意力を有する当事者が万全の注意を払ってなお納付期間を徒過せざるを得ない場合。

問106 17条の2第4項が無効理由から除かれている理由。

答106 別発明に変更する補正が行われても発明に実質的な瑕疵が生じる訳ではなく,特許されたとしても直接第三者の利益を著しく害することにならないため。

問107 37条が無効理由から除かれている理由。

答107 発明に実態的に瑕疵があるわけではなく.二以上の特許出願にすべきであったという手続上の瑕疵であり,それを理由に特許を無効にするというのは苛酷であるため。

問108 36条6項4号が無効理由から除かれている理由。
答108 特許請求の範囲の記載形式に違反があるのみで,特許権の内容である発明に実体的に瑕疵があるわけではないため。

問109 無効審判の請求人適格の改正の理由。

答109 異議申立制度が廃止されたことから,公益的無効理由に基づく無対審判請求人適格を拡大して異議申立制度が担っていた機能を無効審判に包摂させる一方,権利帰属にかかかる無効理由(冒認出願及び共同出願要件違反の出頭)についてはその当事者に解決をゆだねるのが適当であるため。

問110 訂正審判を導入した理由。

答110
o 特許について一部に瑕疵がある場合にその瑕疵のあることを理由に全部について無効審判を請求されるおそれがあり,そうした攻撃に対して瑕疵のある部分を自発的に事前に取り除くため。
o 不明瞭な記載があると,とかく侵害事件などをおこしやすいので記載を明瞭にして争いを防ぐため。

問111 訂正審判を請求する場合に実施権者等の承諾が必要な理由。

答111 特許権者が誤解に基づいて不必要な訂正審判を請求することもあり,また瑕疵の部分のみを限定すれば十分であるのにその範囲をこえて訂正することも考えられ,そうなると実施権者は不測の損害を蒙るため。

問112 「審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らか」な場合の具体例(2つ)。

答112
o 最初の弁駁機会や訂正請求直後の弁駁機会までに提出されない無効理由を理由証拠として追加すること。
o 主張の基礎となる証拠の価値が低く,一見して明らかに適切な無効理由を構成しないものを理由証拠として追加すること。

問113 「合理的な理由」の要件を充足すると認められる具体例(3つ)。

答113
o 無効審判請求後に訂正により特許の内容が変化し,新たな証拠を提示する必要が生じた場合。
o 被請求人の答弁によりクレーム解釈に関する主張が明らかになり,これに対する無効理由を追加する必要が生じた場合。
o 無効理由の証拠が極めて特殊な外国文献等であり,審判請求以前から人手に相当の時間を要し提出が遅れたとしてもやむをえないと認められる場合。

問114 「参加」とは。

答114 審判の継続中に第三者がその審判の当事者の一方に加わって,その審判手続を続行すること。

問115 「共同訴訟的当事者参加」とは。

答115 独立して審判を請求する適格を有するものが参加をもって請求に代えるもの。したがって,自ら請求人となる適格を有しない者は,3項の参加人とはなりえても1項の参加人とはなることはできない。

問116 「共同訴訟的補助参加」の具体例。

答116 ある特許権について無効審判が請求されている場合には,その特許権について実施権を有するものが行う参加。なお本条の参加は1項の規定による参加入と異なり、被参加人が審判の請求を取り下げた後は審判手続を続行することはできない。

問117 職権審理を導入した理由。

答117 特許権はその性質上広く一般に影響を及ぼすものであるため、審判は単に請求人、被請求人の個人的な利害をこえて,公衆の利害得失と密接な関係を有するため。

問118 「審決をするのに熟したとき」とは。

答118 審理に必要な事実を全て参酌し,取り調べるべき証拠をすべて調べて結論を出せる状態に達したこと。

問119 「続審主義」とは。

答119 第1審である審査を基盤として審理を続行し,新しい資料を補充して,審査官の判断の当否を訓告すること。

問120 前置審査を導入した理由。

答120 拒絶査定に対する審判において拒絶査定がくつがえるものの大部分が拒絶査定後に明細書、図面について補正があったことによるものであるという実情に緩み,その事件の処理をした審査官に再審査させることにより審判の促進をはかるため。

問121 一事不再理を導入した理由。

答121 同一の事実,同一の証拠による同じ審判手続を繰り返すことになって煩雑になることを防止するため。

問122 再審を導入した理由。

答122 確定審決を争わせることは法的安定性を害するから一般的には許すべきではないが,全く不服申立ての途をとざしてしまうと、具体的妥当性の要請に反する事態を生ずるおそれがあるため。

問123 後用権を導入した理由。

答123 発明が特許権の拘束から脱したと信じて発明を実施した者がさかのぼって侵害者となるのは,公平の原則にも反して不当であるため。

問124 審決取消訴訟を導入した理由。

答124 特許庁における審決は行政処分であり,それについての訴えは行政事件訴訟法の適用を受けるのが原則であるが,特許事件の性質上,開法の規定をそのまま適用することが必ずしも適当てないため。

問125 審決取消訴訟で一審省略する理由。

答125
o 特許庁での審判手続が裁判に類似した準司法手続によって厳正に行われている以上,さらに三審級を重ねることはいたずらに事件の解決を遅延せしめるため。
o 事件の内容が極めて専門技術的であるため,特許関係の専門家によって行われた審判手続を尊重するため。

問126 原告適格を「当事者,参加人又は当該審判若しくは再審に参加をして申請を拒否された者」と定めた理由。

答126 特
許権のように対世的な権利に係る訴訟においては,利害関係がある第三者の範囲は著しく広汎になり,これらの者全てに原告適格を認めると我利渋滞の原因となるおそれがある。しかし,現に特許庁の審決によって権利を害された者に救済を拒否し,当事者だけに訴訟の提起を許すことは「何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない]という憲法32条との関係問題である。したがって,いねば妥協案として定められた。

問127