問197 商標法の趣旨
答197 商標が継続的に使用されて得られた業務上の信用は経済的価値を有する。
商標を保護することは,一定の商標を使用した商品又はサービスは必ず一定の出所から提供されるという取引秩序を確保することになり,ひいては消費者等の利益を保護することになると同時に,産業の発達にも貢献することとなるため。

問198 立体商標制度が導入された理由(2つ)。
答198
o 立体商標に対する保護のニーズが現実に存在するため。
o 立体商標についても権利を付与するのが国際的な趨勢となったため。

問199 「商品」とは。
答199 商取引の目的たりうべき物,特に動産をいう。

問200 「役務」とは。
答200 他人のために行う労務又は便益であって,独立して商取引の目的たりうべきものをいう。

問201 「標章を付する行為」とは。

答201 商品自体に直接商標を貼付し,刻印する行為等,商品と商標との一体性を生み出す行為をいう。

問202 2条3項2号に「電気通信回線を通じて提供する」を加えた理由。

答202 ネットワークを通じた電子情報財の流通行為が商品商標の使用行為に含まれることを明確にするため。

問203 役務商標の使用行為に「その映像面を用いたサービス提供行為」を加えた理由。

答203 サービス提供時の映像面と密接なつながりのある画面において商標が表示される必要があることを特定し,解釈の無用な拡大を防ぐため。

問204 2条3項8号に「電磁的方法」を加えた理由。

答204 有体物たる広告等に標章を付して「展示」等する行為だけでなく,ネットワークを通じた広告等の行為の保護を明確にするため。

問205 電子情報財を商品として取り扱うこととした理由。

答205 社会状況の変化,商品に関する国際的な認識の変化及び商標法と保護法益の近い不正競争防止法上の商品概念の変化に対応するため。

問206 「商標の機能」とは(4つ)。

答206
o 自他商品等識別機能
o 出所表示機能
o 品質保証機能
o 宣伝広告機能
そのうち,最も本質的なのは自他商品等識別機能である。

問207 「登録主義」とは。

答207 未必的に可能性として存在する信用も保護の対象とすべく,実際に使用をしていなくても一定の要件さえ満たせば商標登録を受けられること。

問208 「普通名称」とは。

答208 取引界においてその名称がその商品等の一般的な名称であると意識されるにいたっているもの。

問209 「慣用商標」とは。

答209 同種類の商品等に関して同業者間に普通に使われるに至った結果,自他商品等識別力を失った商標。

問210 3条1項3号に該当する商標が登録を認められない理由。

答210 商品の産地,販売地等,役務の提供の場所,質等の表示は,一般的に使用されることの多い記述的商標であり,特定の人のみに独占的に使用させることは公益上妥当ではないため。

問211 3粂1項4号の「ありふれた氏又は名称」とは。

答211 原則として同種のものが多数存在するもの。たとえば,「50音別電話帳(日本電信電話株式社発行)」等においてかなりの数を発見することができるものをいう。

問212 3条1項5号の「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標」とは。

答212 仮名文字1字,単なる直線,ローマ字の1文字若しくは2文字,数字等をいう。

問213 3条1項6号の趣旨。

答213 1号から5号までの総括規定であって,自他商品等の識別力を有し,一定の出所から流出したものであることを一般的に認識させる商標しか登録を認めないようにするため。

問214 特別顕著性を有する商標が登録を認められる理由。

答214 3号から5号までのものは,特定の者が長年その業務に係る商品等について使用した結果,その商標がその商品等と密接に結びついて出所表示機能をもつに至ることが経験的に認められるため。

問215 4条1項lo号に該当する商標が登録されない理由。

答215 商品等の出所の混同防止,及び一定の信用を蓄積した未登録有名商標の既得の利益を保護するため。

問216 4条1項lo号の「需要者の間に広く認識されている商標」とは。

答216 最終消費者まで広く認識されている商標,取引者の間に広く認識されている商標,及び全国的に認識されている商標,ある一地方で広く認識されている商標も含む。


問217 商標の類否判断の基本的基準(地域団体商標)。

答217 商標の有する外観,称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察する。地域団体商標は,商標全体の構成を一体不可分のものとして類否を判断する。地域団体商標と同一又は類似の文字部分を含む商標は,原則として当該地域団体商標と類似する。

問218 4条1項15号の「混同」とは(2つ)。

答218
o その他人の業務に係る商品等であると誤認し,需要者が出所について混同するおそれがある場合(狭義の混同)。
o その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し,需要者が出所について混同するおそれがある場合(広義の混同)。

問219 4条1項16号の「誤認」とは。

答219 その商品が有する品質又は役務が有する質として需要者において誤認される可能性があること。

問220 4条1項19号に該当する商標が登録されない理由。

答220 外国で周知な商標について外国での所有者に無断で不正の目的をもってなされる出願・登録を排除すること,及び,全国的に著名な商標について出所の混同のおそれがなくても出所表示機能の希釈化から保護するため。

問221 「不正の目的」とは(3つ)。
答221
o 不正の利益を得る目的。
o 他人に損害を加える目的。
o 図利目的・加害目的をはじめとして取引上の信義則に反するような目的。

問222 団体商標制度を導入した理由(3つ)。

答222
o 団体商標を通常の商標と区別して登録している諸外国との国際調和を進める必要があるため。
o 団体商標は通常の商標とは異なる性質を有するものであるため。
o 地域おこしや特定の業界の活性化を目的として,団体が核になって,独自ブランドによる特産品作りが求められているという時代の要請に応じる必要があるため。

問223 団体商標の主体として商工会議所等の社団が追加された理由(2つ)。
答223
o 商工会議所,商工会,NPO法人等についても,その構成員が扱う商品等を明らかにするため,その構成員に商標を共通して使用させている実体があるため。
o 社団法人は一般社団法人への移行が予定されていることから,中間法人についても,一般社団法人として団体商標の主体として認められるため。

問224 地域団体商標制度の導入の理由。

答224 地域ブランドについて多く用いられる地域の名称と商品(役務)の名称を組み合わせた文字商標に商標法による保護を与え,発展段階にある地域ブランドを保護するため。

問225 7条の2の組合等に該当するか否かの判断基準(2つ)。

答225 
o 「祖合等」に該当する法人としての登記。
o 不当に構成員の資格を有する者の加入を制限してはならない旨の設立根拠法の規定があること。

問226 「需要者の間に広く認識されている」とは。

答226 少なくとも一定範囲の需要者(隣接都道府県)に及ぶ程度の需要者に認識されていること。

問227 「地域の名称」とは。

答227 現在の行政区画単位の地名だけではなく,旧地名,旧国名,河川名,山岳名,海域名等も含まれる。

問228 出願公開制度導入の理由。

答228 設定登録前に第三者が権原なく商標登録出願に係る商標をその指定商品等について使用したときに,商標登録出願人が金銭的請求権を行使できることになったため。

問229 金銭的請求権の要件(3つ)。
答229
o 商標登録出願に係る内容を記載した書面を提示して警告すること。
o 第三者が商標権の設定の登録までの間に,その商標を当該指定商品等に使用したこと。
o 出願人が出願に係る商標を使用していること。

問230 金銭的請求権の導入の理由。
答230 出願から設定登録に至る間における当該商標に化体した業務上の信用を保護することを目的として,当該商標を第三者が指定商品等について使用することにより生ずる出願人の業務上の損失を補填するため。

問231 未登録商標の存在を理由とした拒絶理由通知の趣旨。

答231 抵触する指定商品等の波線補正,当該出願に係る商標についての登録の断念及び別の商標の採択・出願,先願に係る出願人との譲渡交渉等さまざまな対応を可能とするため。

問232 要旨変更の判断基準(指定商品等/商標)。

答232 指定商品等:指定商品等の範囲の変更又は拡大,商標:商標中の付記的部分ではない普通名称等の変更,追加,削除。

問233 更新制度の導入の理由(3つの問題点)。
答233
o 権利者が業務の廃止その他の理由によりその商標権の存続を希望しなくなったような場合,
o その登録商標が時代の推移とともに反公益的な性格を帯びるようになった場合。
o 長期間にわたって使用されていない大量の登録商標が存在し続けることによって商標制度の本来の趣旨を逸脱するような事態となる場合,
に不当な結果を招くことがないようにするため。

問234 商標権の分割をするメリット。

答234 異議申立てや審判請求に係る指定商品等についての商標権とそれ以外の商標権とを分割することで,権利の有効性について争いのない商標権については安心して権利行使でき,また,譲渡交渉やライセンス契約等を行う際にも円滑に対応できるようになること。

問235 商標権の移転が認められた理由。
答235 商標権の財産権としての地位の強化の傾向が一般的となり,商標に化体された信用そのものに財産的価値を認め,営業と離れての譲渡を認めるべきだという経済界の要請が強かったため。

問236 商標権の分割移転が認められた理由(4つ)。
答236
o 誤認混同のおそれが生じないよう公益的観点から別途の方法により担保することが可能であれば,当事者間の合意があれば基本的に自由に処分することを認めることが適当であるため。
o 類似商標が分割移転されて商標権者が誤認混同のおそれの生ずるような使用をすることは,損害を披るのは自分自身である以上考えにくく,使用地域を分けたり,自主的に適当な混同防止表示を付す等による棲み分けが行われ,平穏に使用されるのが通常であるため。
o 世界的にも,類似商標の分離移転や同一商標の分割移転は一般的に認められているため。
o 使用許諾制度,サービスマークの特例出願に係る重複登録制度,商標権の共有等,一定の誤認混同防止のための担保措置の下で認められる同一・類似商標の並存に問題が生じていないため。

問237 商標権の移転に係る混同防止表示請求制度導入の理由。
答237 一方の商標権者等がその登録商標をその指定商品等について使用し,他方の商標権者等の業務上の利益を害することとなっても,当該他方の商標権者等は差止請求権等の商標権の権利行使をすることができないので,自己の業務に係る商品等と混同を生ずる事態を回避し,その商標権者等の業務上の信用の保護と需要者の利益の保護を図る必要があるため。

問238 商標権の移転に係る混同防止表示の方法。
答238 一般需要者が取引上の通常の注意力をもって彼此区別し得る程度のものを表示する。

問239 「専用権」とは。

答239 商標権者が指定商品等について登録商標の使用をする権利及び他人のその使用を禁止,排除する権利。

問240 「禁止権」とは。
答240 他人が自己の商標権のうちの類似範囲の商標の使用をすることを禁止又は排除する権利。


問241 商標権の効力が及ばない商標が,商標の全体の構成となっている場合だけではなく,商標の一部の構成となっている場合にも当てはまる理由(26条1項柱書)。

答241 識別力のある商標に識別力のない文字等を結合させた商標も登録となる可能性があるが,その結果,第三者が当該識別力のない文字等の使用を躊躇しないようにするため。

問242 「不正競争の目的」とは。
答242 他人の信用を利用して不当な利益を得る目的でという意味。

問243 商標権と特許権等との抵触の場合(3つ)。
答243
o 商品の形状自体についての発明や考案が特許権や実用新案権の対象となっている場合にその商品自体の形状を立体商標として使用する場合。
o 意匠を現した物品及びこれに類似する物品を商標として使用する場合。
o 著作権の効力が及ぶ絵画図形等を商標として使用する場合。

問244 団体構成員の登録商標の使用をする権利はどのように発生するか。
答244 団体商標は,団体が構成員に使用させるために登録されるものであるので,構成員であるとの地位に連動して団体商標に係る商標権の発生と同時に発生する。

問245 先使用の導入の理由。
答245 4条1項10号に該当しないで他人の商標が過誤登録された場合に,無効審判を請求するまでもなく未登録周知商標の使用を認めるため。

問246 普通名称化に対する差止請求権が認められない理由(3つ)。
答246
o 普通名称化させるおそれのある行為の範囲がはっきりしない。
o 差止請求権は他人の権利を不当に制限するおそれもある強力な権利であるから,このような規定を設けることに問題がある。
o 他人が商標として使用しなければ実際上多くの場合普通名称になることはない。

問247 無効審判と異議申立ての意義の違い。
答247 無効審判:特許庁が行った登録処分の是非をめぐる当事者間の争いを解決する。異議申立て:商標登録に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成する。

問248 無効審判請求の除斥期間を設けた理由。

答248 一定の期間無効審判の請求がなく平穏に経過したときは,その既存の法律状態を尊重し維持するため。

問249 不使用取消審判の導入の理由(2つ)。
答249
o 保護すべき信用が発生しないか,あるいは発生した信用も消滅して保護対象がなくなると考えられる不使用の登録商標に対して排他的独占的な権利を与え,国民一般の利益を不当に侵害しないようにするため。
o 不使用登録商標の存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めないようにするため。

問250 不使用の要件(2つ)。
答250
o 商標権者,専用使用権者,通常使用権者のいずれもがその登録商標の使用をしていないこと。
o 継続して3年以上国内において登録商標を使用していないこと。

問251 何人も請求できるようにした理由(5つ)。
答251
o 不使用登録商標の累積により生じた他人の商標選択の幅の狭小化,特許庁における審査負担増・審査遅延等の事態を抑制する手段としての公益的重要性が高くなってきているため。
o 「利害関係」の有無について争われることにより審理の結論が出るのが遅れるというケースも存在するため。
o 利害関係を作ろうと思えば,同一又は類似の商標を「出願」又は「使用」すると言う形で簡単に作ることが可能であるため。
o 更新時の使用状況の審査を廃止したことにより,特許庁が直接的に不使用商標の取消しに関与することができなくなったため。
o 諸外国でも「何人」も,請求を認めている例が少なくないため。

問252 いわゆる「駆け込み使用」とは。
答252 被請求人による使用が審判請求前3月から審判請求の登録の日までの間におけるものであって,審判請求がされることを被請求人が知った後の使用。

問253 取消しを免れるための要件。
答253 被請求人が,請求にかかる指定商品等のいずれかについて,登録商標の使用事実又は登録商標の不使用の正当理由を証明すること。

問254 使用証明の責任を被請求人とした理由。
答254 請求人が不使用の事実を証明することは困難である一方,被請求人(商標権者)は,その商標の使用をしているかどうかを知っているだけでなく,使用事実の証明も容易であるので,挙証責任の転換を図った。

問255 不正使用取消審判の導入の理由。
答255 回答商標の不正な使用によって一般公衆の利益が害されるような事態を防止し,かつ,そのような場合に当該商標権者に制裁を課すため。

問256 非類似の範囲に適用がない理由。
答256 非類似の範囲についてはその登録商標となんの関係もなく,登録商標と関係づけられない商標の使用にまで干渉するいわれはないため。

問257 52条の2の取消審判が設けられた理由。
答257 自己の登録商標の使用であっても,不正競争の目的で他の類似関係にある登録商標の商標権者等の業務に係る商品等と混同を生ずる使用をしたときの制裁として,商標登録全体を取り消すため。

問258 53条の取消審判が設けられた理由。
答258 商標権者に専用使用権者及び通常使用権者に対する監督責任を負わせ,商標権者及び専用使用権者又は通常使用権者に対する制裁を課することとして,使用許諾制度の濫用による一般需要者への弊害を防止するため。

問259 取消しの対象を専用使用権又は通常使用権としなかった理由(3つ)。
答259
o 専用使用権又は通常使用権という私的契約により発生する法律効果を行政行為によって取り消すということは法律的に不明確であり立法例に乏しいため。
o その専用使用権又は通常使用権を取り消すこととしても,審判が請求されたとき設定契約を解除すれば,その審判は対象を失って棄却されることとなり,この制度の存在が無意昧になるため。
o 商標登録自体を取り消すこととして,使用許諾に伴う商標権者の責任を明確にするため。

問260 53条の2の取消審判が設けられた導入の理由。

答260 パリ条約6条の7の規定を実施し,他の同盟国で商標に関する権利を有する者の保護を強化するため。

問261 不使用取消審判とそれ以外の取消審判では商標権が消滅する日が異なる理由。
答261 答不使用取消審判により取り消された商標登録に係る商標は,法により保護すべき信用が発生していないか,又は消滅しているものであり,審決確定日以前に損害賠償の請求等が行われるのを認めるのは適当ではないため。

問262 防護標章登録制度の導入の理由。
答262 出所の混同を生ずる範囲は,使用されている商標の著名度等により変動する流動的な概念であるから,非類似の指定商品等について著名登録商標を他人が使用した場合に商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるときには,他人のその標章の使用を禁止排除できるようにして業務上の信用の保護を図るため。

問263 防護標章登録に基づく権利が商標権を分割したときに消滅する理由。
答263 当該防護標章登録に基づく権利はどの商標権に随伴するか不明であるため。

問264